
トランプ米大統領はウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判で5日、与党共和党が多数を占める上院評決により「無罪」放免となった。だがこの先、「史上最も腐敗した大統領」(ニューヨーク・タイムズ紙)の汚名返上へとつながる兆しは、あまり見当たらない。
ニューヨーク・タイムズ紙は「無罪評決」に先立つ去る1月31日、国民の多くが求めてきた、弾劾裁判における重要証人喚問を共和党が却下したまま評決を急いだことについて、これを糾弾する社説を掲載、この中で「上院が無罪判定を下したとしても、トランプ氏の身の潔白を証明することにはならないし、そうすべきではない。彼は史上、最も腐敗した大統領『the most corrupt president in modern times』であり、国民はそのことをいつまでも記憶にとどめることになるだろう」と厳しく断罪した。
アメリカの良識を代表する有力紙が、社説で現職大統領に対し、このような一刀両断のレッテルを貼るのは、異例のことと言える。
しかし、トランプ氏に「史上最も腐敗した大統領」の烙印を押したのは、同紙が初めてではない。
ミズーリ大学のビル・ブラック助教授(「経済と法」専攻)は昨年11月、政治ウェブサイト「truthdig」とのインタビューで、トランプ大統領について「一連の問題の核心は、トランプ腐敗にある。彼は米国史上、最も腐敗した大統領であり、過去のどの大統領とも比較にならない腐敗支持派の大統領だ」と述べている。
ブラック助教授はその根拠として(1)トランプ大統領は就任当初から、外国政府関係者、企業などによる贈収賄行為を禁じた「外国腐敗行為法=Foreign Corrupt Practices Act」の骨抜き化に取り組んできた (2)さらに政府による腐敗行為を告発する「腐敗告発法=False Claims Act」についても、バー司法長官が撤廃に向けて動き出している (3)大統領個人弁護士のジュリアーニ氏なども、ロシアの組織犯罪関係者と結託し私利私欲のために権力を濫用しているとして、ニューヨーク連邦地検に告発されている―などの点を挙げている。
エリザベス・ウォーレン民主党大統領候補も昨年末、遊説先のニューヨーク集会で「トランプは全身これ腐敗だ=Donald Trump is corruption in the flesh。彼は大統領就任式では『国民のために尽くす』と宣誓しておきながら、実際は彼自身と腐敗した取り巻きたちのためだけに仕事をしているに過ぎない」とこきおろした。
また、全米最大の大衆紙USA Today も昨年12月30日、政府不正の監視組織=Citizens for Responsibility and Ethics専務理事を務めるノア・ブックバインダー元連邦検察官による「寄稿社説」を掲載、この中でトランプ大統領のウクライナ疑惑に関連する権力乱用、司法妨害、憲法蹂躙行為などに触れ「2019年は米国史上最も腐敗した1年となった」と断じた。
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