(c)AFPBB News
※ショッキングな映像が一部含まれます 【7月20日 AFP】インドネシアの観光地バリ(Bali)島のトルニャン(Trunyan)村の人々は何百年もの間、屋外の竹製の囲いの中に村人の遺体を安置し、骨になるまで腐敗させる風葬を行ってきた。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)は、世界中の葬儀の形を変えた。宗教指導者や墓地で働く人々は防護服を身に着け、葬儀への参列は禁止され、葬儀が行われたとしてもソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のため互いに慰め合うこともできなくなった。 インドネシアでも、葬儀関係者は保護具の着用が義務付けられ、遺体は素早く埋葬されている。 だが、トルニャンの人々は風葬をやめていない。 バリ島の地元当局者は、新型コロナウイルスはトルニャンの人々が住む北東の遠隔地にまだ到達していないと説明している。 一方、トルニャンのワヤン・アルジュナ(Wayan Arjuna)村長は、「葬儀の形は変わらないが、マスクを着用することになっている」と述べた。また、新型コロナウイルスを持ち込む恐れがあるため、旅行者の受け入れは一時的に中止しているという。 トルニャン村の人々はヒンズー教徒である多くのバリ島住民と異なり、精霊信仰(アニミズム)と伝統的な村の習慣を、独自に解釈したヒンズー教と融合させており、遺体は土葬も火葬もしない。 代わりに、屋外で自然と腐敗するのに任せている。それが亡くなった人とのつながりを保つ方法だと信じているのだ。 バトゥール(Batur)火山と乱雑に広がる火山岩で彫られたヒンズー教寺院が見下ろすトルニャン村から墓地までは、舟ですぐだ。 死者のための竹製の囲いは11か所ある。近くにあるベンガルボダイジュの放つ香りが、遺体の腐敗臭を隠してくれると地元の人は言う。 囲いの一つに安置された最近亡くなった女性は、ほとんど寝ているのかと見間違うほどだ。その近くには、服から突き出た肉がなくなった足や、骨だけとなった頭も見える。 ■「頭蓋骨の島」 ワヤン・スカルミン(Wayan Sukarmin)さんは、20年間観光客にトルニャンの慣習を紹介してきたベテランガイドだ。外の人たちが「頭蓋骨の島」と呼ぶ墓地で働くのは怖かったが、もう慣れたと話す。 竹製の囲いがいっぱいになったら、新しい遺体に場所を開けるため、古い遺体は屋外の共同墓地に移される。やがて骨だけになったら、頭蓋骨は自然に砕けて土に還るまで石の祭壇に安置される。 「バリ・アガ(Bali Aga、山の人々)」と呼ばれるトルニャンなど人里離れた村に住む人々は、バリ島にもともと住んでいた原住民の子孫だと主張している。歴史的文献によると、トルニャン村の本堂は、10世紀までさかのぼるという。 風葬の伝統の起源には諸説ある。 ある伝説では、風葬を行っている地域はかつて、貴重なベンガルボダイジュをめぐって人々が争った場所だった。ここを勝ち取った指導者は平和を維持するため、遺体の臭いがこの地の魅力を引き下げると信じ、遺体を安置することにしたという。 また、付近の火山が火葬に怒って噴火するのを避けるため、風葬にしたという言い伝えもある。 映像は2月撮影。(c)AFPBB News
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July 20, 2020 at 10:26AM
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