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腐敗政治に挑んだ富山の地方局 ドキュメンタリー「はりぼて」16日公開 - 東京新聞

五百旗頭幸男監督(左)と砂沢智史監督=東京都港区で

五百旗頭幸男監督(左)と砂沢智史監督=東京都港区で

 2016年に発覚した富山市議会の腐敗構造を描いたドキュメンタリー映画「はりぼて」が16日から、東京・渋谷のユーロスペースで公開される。市議14人のドミノ辞職のきっかけを作ったローカル局、チューリップテレビが不正を追及する姿勢を扱った。作品では4年経ても実態は変わらない政治風土を疑問視するとともに、監督を務めた2人の記者が直面した衝撃の展開も包み隠さず盛り込んでいる。 (藤原哲也)

 監督は、キャスターも務めていた五百旗頭(いおきべ)幸男(42)と、砂沢智史(さとし)(40)の二記者。同局は情報公開請求で得た約一万枚の資料を基に、実態のない市政報告会や政務活動費の架空請求などの存在を突き止め、市議にマイクを向けて真実を問いただす。カメラの前でのらりくらりとうそや言い逃れを繰り返す市議たち。だが、最後は不正を認めてあっけなく辞職−。痛快だが、どこか滑稽にも映る。

 「コテコテの権力追及より、コメディーのつもりで作った」。映画を発案した五百旗頭監督は皮肉まじりに話す。発覚から四年、このタイミングでの映画化については、その後に同様の不正が明らかになっても、市議たちが辞めなくなった点を示す。「何も変わらない市議会に加え、それを許してきた市民やメディアを含めて『はりぼて』として描きたかった」。一連の取材をリードした砂沢監督も「今度こそ古い政治風土を変えるきっかけにしたかった」と狙いを語る。

「はりぼて」から。不正疑惑が発覚した市議(中央)が支持者の前で土下座する場面

「はりぼて」から。不正疑惑が発覚した市議(中央)が支持者の前で土下座する場面

 ただすべきは市議会だけではない。情報公開請求の動きが市議側に漏えいするなど、役所内の問題も描かれる。権力の癒着、隠蔽(いんぺい)、横暴−。どこか現政権の問題をほうふつとさせ、日本の縮図を表しているようにも見える。「最近では河井夫妻の選挙違反事件もあった。コロナ禍で公開時期が延びたが、結果的にタイムリーな内容になった」と五百旗頭監督も感じている。

 壮大な「はりぼて」コメディーのラストで描かれるのは、意外にも両監督だ。砂沢監督は突然の異動で記者職を離れ、五百旗頭監督は会社の方向性に疑問を呈し、退職を宣言する。砂沢監督は「取材で外圧がかかったことはない」と断った上で言葉を選びながらこう語る。「人事異動が起きたという事実。それ以上でも以下でもない」

 五百旗頭監督は「組織ジャーナリズムに身を置く人間として、ぎりぎりの表現だったかもしれない。でも、それを含めて自分たちの葛藤を読み取ってほしいし、メディアの信頼を取り戻す意味でも覚悟を示したかった」と明かす。既に他県の放送局に転職、新たな道を歩み出しているという。

 権力と対峙(たいじ)してきた記者たちが最も伝えたいことは何か−。五百旗頭監督はこう結んだ。「コメディーだが、最後は笑ってほしくない。むしろ、怒っていてほしい。『はりぼて』は自分たちにも向けられている言葉なのです」

 ※ユーロスペースを皮切りに全国で順次公開予定。

<富山市議のドミノ辞職> 2016年8月、チューリップテレビが入手した政務活動費の過去の伝票を基に、自民党の重鎮市議による不正請求疑惑をスクープ報道。市議は事実を認めて辞職した。これを皮切りに別の市議にも架空請求、領収書の改ざんなどが次々と発覚し、半年間で14人が辞職。一部の市議は後に詐欺罪で在宅起訴され、有罪が確定した。不正発覚の流れを作ったチューリップテレビの調査報道は高く評価され、日本記者クラブ賞の特別賞などを受賞した。

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August 13, 2020 at 05:28AM
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