ある劇作家の方と対談した時に、僕がシェイクスピアが好きで、繰り返し読んでいるという話をしたら、現代演劇の起源について話がおよんだ。今でこそハイカルチャーの一角に数えられ、舞台出身の俳優がいなければ映像作品も成り立たないが、それこそシェイクスピアの時代、街の外れで行われる「芝居」は、国家元首を揶揄（やゆ）し、富豪の不実をなじる、庶民たちの反旗の拠点だった。楽しく刺激的で、経済さえ回ればいいと考えるのは浅はかで、いつの時代も一流の創作者はその中に体制への棘（とげ）を忍ばせるものだ。
現在、本邦の公共放送にて『銀河英雄伝説』が放送されている。田中芳樹氏が原作のスペースオペラをアニメ化したものだ。ここで描かれるのは、専制君主制が５００年続いた結果、門閥貴族による統治の腐敗が極まった「銀河帝国」と、専制から抜け出した人々が作った民主主義国家「自由惑星同盟」の戦いだ。作中では後者もまた自身の保身のみに長（た）けた政治家たちが美辞麗句を並べたて、安全な場所から前線に兵士を送り込む腐敗…
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August 26, 2020 at 10:30AM
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ナビゲート２０２０：ヤン・ウェンリーに学ぶ＝上田岳弘（作家） - 毎日新聞
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