コロナを恐れて突然出頭
「指名手配されている紙谷惣です」――。2003年に殺人を犯し、南アフリカに逃亡後、現地で事業を行い、潜伏を続けた犯罪者。それが17年後の今年8月下旬、同国で感染が拡大する新型コロナウイルスに怯えて自ら南アフリカの日本大使館に出頭し、警察関係者を驚かせた。この出来事は、いまなお捜査関係者の間で話題となっている。
殺人事件が発生したのは2003年9月。元飲食店員が千葉県市川市のレストラン駐車場で暴行を受け、その後、埼玉県戸田市のマンションに監禁された挙句殺害され、遺体はバラバラにされて遺棄された。その年の10月、東京都奥多摩町の町道で、切断された腕が見つかり捜査が開始された。
背景には、飲食店を訪れる客のクレジットカード情報を抜き取り、カードを偽造する詐欺計画をめぐってのトラブルがあったという。殺害された元飲食店員が、詐欺に加担することを断ったのだ。
2004年1月、警視庁は逮捕監禁容疑で男女8人を逮捕し、のちに殺人、死体遺棄などの容疑で再逮捕したが、主犯格と目された松井知行容疑者と今回、殺人の実行犯として出頭した紙谷惣容疑者は事件直後に国外に逃亡。米ハワイ経由で南アフリカに入国していた。警視庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際指名手配したものの、身柄を押さえることはできなかった。
南アフリカ警察はまったく動かず
その後について、捜査関係者が語る。
「海外逃亡後、ふたりは別の詐欺事件にかかわっていたようだ。そのことが判明したのは、2010年のこと。南アフリカで開催されたサッカーワールドカップに際し、架空の観戦ツアーを名目に高額の旅行代金がだまし取られる事件が発生した。その捜査を進める中、松井らが主導していることがわかった。
警視庁は2014年6月、詐欺の容疑で日本国内の共犯者5人を逮捕し、松井らについては新たに同容疑で国際指名手配をした。それと同時に、ふたりの南アフリカにおける所在もつかめたため、南アフリカの警察当局にコンタクトを取り、身柄の引き渡しを求めた。しかし、『死刑制度のある国(日本)に引き渡しはできない』と断られてしまった」
この事件の最中、紙谷容疑者は松井容疑者とたもとを分かち、その後は中古車販売を行っていたという。一方、松井容疑者は逮捕されぬまま、2016年に自殺してしまった。
つまり、南アフリカの警察当局は日本側から依頼を受けていたにもかかわらず、まったく動かなかったわけである。
殺人犯と知りつつ見逃した
南アフリカ警察の消極的な姿勢はその後も変わらず、紙谷容疑者の今回の出頭も捜査当局の働きかけではなく当人が自発的に行ったものだという。捜査関係者が続ける。
「中古車販売業が行き詰まり、借りていた家の大家とトラブルもあったうえ、コロナに感染した疑いが出てきた。紙谷が出頭してきたのはこうした理由があったからとみられる。
出頭先は在南アフリカ日本大使館で、南アフリカ警察はまったく関与しなかった。紙谷は大使館員に対して殺人や指名手配について認めたうえで、『コロナで仕事も金もなくなった』『同居人がコロナに感染した』などと繰り返し、『日本に帰りたい』としきりと訴えたと聞いている」
大使館は外務省本省経由で警察庁、警視庁と相談のうえ、日本に送還することにしたというが、コロナが蔓延する南アフリカは現在に至るまでロックダウン(都市封鎖)状態にあり、国際線の発着が原則禁止されていたため、紙谷容疑者を8月末まで大使館付近のホテルに滞在させたのち、9月1日、特別臨時便を手配。3日に帰国させた。同日、警視庁は逮捕監禁容疑で逮捕した。今後、殺人と死体損壊、死体遺棄容疑を追及するという。
それにしても、なぜこんなことになったのか。どうして17年もの間、自由気ままに日々暮らすことができたのだろうか。もともと南アフリカの警察官のモラルが低いことは有名だが、まさか殺人犯の存在を知りつつ長年見逃し続けるとは、驚くほかない。
警察トップが賄賂をもらう国
南アフリカ警察の実態を知る日本の警察幹部はこう話す。
「警察トップからして、賄賂をもらって殺人を見逃すような国だ。南アフリカ警察長官のジャッキー・セレビ氏は、2008年に収賄容疑をかけられICPO総裁を辞職している。つまり、ICPOの統制すら効かないということだ。だから、不正や怠慢があろうと、一向に驚かない。『死刑制度がある国には容疑者を引き渡さない』などという綺麗事は、まったくのおためごかしだ」
紙谷容疑者が南アフリカに逃亡したとみられる2004年頃、同国では警察長官が2代続けて汚職で更迭されている。先に更迭されたのは、前述したジャッキー・セレビ警察長官。同氏は2005年、殺人容疑で逮捕されたビジネスマンから賄賂を受け取っていた。その後、収賄罪で逮捕され、懲役15年の実刑判決を受けた。同長官は更迭直前までICPO総裁を務めていた。
その後任となったベキ・セレ警察長官も、警察庁舎の賃貸契約に際し、競争入札を行わずに不当に契約業者を選定したとして、2012年に更迭されている。
「まさに、紙谷らが南アフリカに逃亡したときの警察長官が、2000年に就任したセレビだ。ちなみに、このセレビの在任中に使われていた南アフリカ警察幹部の公用車が、日本国内で盗まれた盗難車であったことも2007年に発覚している。逮捕要件となった賄賂を渡していた人物も、正体はビジネスマンと言うより麻薬取引業者。つまり、南アフリカ警察は犯罪集団に近い。
そのあとを継いだセレ長官がやはり汚職で更迭されてからもう8年が経つが、南アフリカ警察の体質は変わっていないとみられる。犯罪者にとっては天国のような国だ」(前出の警察幹部)
もしコロナが蔓延していなければ、殺人犯はいまなお遠く離れた異国・南アフリカでのうのうと暮らしていたことだろう。
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October 13, 2020 at 04:00AM
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