
共同利用増やして高い効果を
2024年4月、トラック運転手の労働時間規制が強化される。1年後に迫る「物流2024年問題」を乗り越える鍵が「中継拠点」だ。農産物を集約する中継拠点を設け、トラックの積載率を高め、輸送を効率化する取り組みが広がりつつある。こうした拠点は、共同利用する産地や運送会社が多いほど効果が高まる。持続可能な物流を目指し、産地は対策を急ぐ。九州の東の玄関口、大分港(大分市)沿いに、JA全農おおいたが19年に整備した中継拠点「大分青果センター」がある。役割は県内一円の荷物集約だ。須股慶一センター長は「集荷先から市場まで直送する運行では法令順守が難しく、持続可能な輸送を生産者に担保できない」と話す。
運転手の負担軽減、法令順守に向け、直送から中継輸送へ切り替えた。関西便の場合、水曜に集荷した品をセンターで1日保管し、木曜朝に出発して同日に市場へ着く。販売日は1日延びて金曜となるが、12時間冷蔵して品温を十分に下げ、鮮度維持を可能にした。
積載率を向上 フェリー活用も
港に近い立地を生かし、貨物専用フェリー「RORO船」を活用した関東便の強化にもつなげた。午後11時に出港し翌日夜に清水港へ着き、トラックで関東へ向かう。センターで集約することで、まとまった数量を確保。車両と船を組み合わせる「モーダルミックス」で、航空便に限っていた関東向け出荷を全体の1割に高めた。
センターの22年度取扱量は1万6300トンを見込み、初年度から5割増加。一層の利用増を見越し、施設の拡張を計画している。
運送会社も中継拠点の整備に動く。青果物流大手の福岡ソノリク(佐賀県鳥栖市)は、西日本各地に物流拠点を持つ。数年後には、福島や埼玉にも整備を予定。直行の長距離輸送ではなく、中継輸送で無理のない運行を組む狙いがある。
3月に福岡市で開いたセミナーでは、休憩や食事ができる施設や営業所を岡山に整備する構想を説明。園田裕輔取締役は「中継地として多くの運送会社に広く利用してもらいたい」として、同業者間で施設や荷物を共有する仕組みを描く。
拠点整備やパレット導入など、産地、流通各段階で改善は進む。ただ、改善には当然、コストが伴う。西日本の全農県本部は「生産コストが軒並み上がる中、さらなる負担を生産者に強いるのは無理だ」と訴える。生産、流通、販売の各段階、消費者も含めたコスト負担の在り方が、問われている。(橋本陽平)
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