現在主流のリチウムイオン電池に代わる次世代電池の開発が、電気自動車(EV)普及の鍵になると目されている。EVの航続距離が伸びるなど、利便性が大幅に改善されるからだ。次世代電池の開発には、政府も補助金を出すなどバックアップしている。次世代電池の世界市場規模は2040年には約4兆円になるとの見通しもあり、開発競争が活発化している。
次世代電池の本命とみられているのは、電解質に固体材料を使い、安全性や形状の自由度が高まる「全固体電池」だ。通常は液体の電解質に固体材料を使うため、液漏れなどの心配がない。トヨタ自動車が6月、EV向けに2027(令和9)~28年に実用化する方針を明らかにしたことで注目を浴びた。
経済産業省は6月16日、トヨタのEV用電池の投資に最大1178億円を補助すると発表。西村康稔経産相は記者会見で「わが国の蓄電池のサプライチェーン(供給網)の大幅な強化につながることを期待したい」と述べた。政府の今回の支援は、4月に発表したホンダと電池大手GSユアサの投資計画に対する最大約1600億円などに続く動きとなる。
全固体電池以外でも次世代電池の開発が進む。現在最も普及しているリチウムイオン電池は原材料のリチウムが南米などに偏在。このため、国際情勢の動向によって供給が左右される懸念もある。「ナトリウムイオン電池」はリチウムイオン電池ほどのエネルギー容量はないが、ナトリウムは海水から取り出すことができ、原材料は豊富に存在する。先行する中国の電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は4月、ナトリウムイオン電池を中国の自動車メーカーが生産するEVへの搭載を発表した。
カリウムイオンやマグネシウムイオン、フッ化物イオンなどを材料とした電池の開発も進められている。
調査会社、富士経済(東京都中央区)によると、全固体電池の世界市場規模は23年は181億円の予測だが、40年には3兆8605億円に拡大する見通しだ。一方、全固体電池以外の次世代電池も23年の7億円から、40年には1903億円と見込まれる。
富士経済エネルギーシステム事業部の山口正倫氏は「次世代電池はEVの複数車種での搭載や商用車、車以外のモビリティー(乗り物)にも採用されていくイメージで市場拡大が続くだろう」と指摘する。(今仲信博)
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全固体電池 固体の電解質を使う次世代の電池。液体の電解質を使うリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、EVの航続距離を伸ばせるとされる。発火リスクが低いなど利点は多いが、EV向けに量産する工法が確立されていない。東京工業大とトヨタ自動車の研究チームが平成23年に有望な材料を発見し、出力を高めることに成功した。
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