サステナビリティ経営の曲がり角
資本効率重視とガバナンス改革が評価されて、株式相場は上昇。今後は人的資本とSXに投資できるかどうかがカギとなる。
「日経ビジネス」8月7日号の日本株についての特集記事が示すように、最近の大きな経済ニュースは、日経平均株価の上昇にあるだろう。5月17日には3万円台を回復。6月には3万3000円台に乗せた。6月は日本企業の株主総会シーズン。投資家の目が企業に注がれる時期のさらなる上昇は、世界の株主からの「期待」を端的に示している。
上昇の理由はいくつがあるが、企業行動としては特に2つが挙げられる。1つは、企業による自社株買いの増加だ。5月は3兆2000億円に達し、月間の過去最高を記録した。自社株買いとは、企業が自社の株式を買い取り、発行株式数を減らすこと。総数が減れば、1株当たり利益(EPS)が高まるわけで、投資家の取り分が増えることになる。
話はやや専門的になるが、自社株買いは、PBR(株価純資産倍率)の改善にもつながる。自社が持つ資産より株価が低いということは、事業を続けないで、会社を解散した方が投資家への配分が多くなるということ。東京証券取引所はこの低PBRを問題視して、改善要請を出している。それを受けて自社株買いが増えているというわけだ。
もう1つは、総会における株主提案の増加にある。6月に株主総会を開く企業のうち、株主提案を受けたのは82社と過去最高となった。提案内容には、環境配慮や株主還元などESGに関連するものが多い。経営陣と株主の議論の活発化は、企業の対話強化として好意的に受け止められている。
株価上昇と「伊藤レポート」
実はそれら2つは、伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長が2014年から企業経営の変革と成長をテーマにまとめた「伊藤レポート」の指摘と重なる。伊藤レポートでは、企業の持続成長のために貸借対照表(バランスシート)を重視する資本効率改善と、投資家対話を促進するガバナンス改善を繰り返し説いている。特に今年に入り、企業がそれらを実践して、資本市場が反応した格好だ。

世界を代表する投資家、ウォーレン・バフェット氏は日本企業の株式を買い増している(写真:AFP/アフロ)
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