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次のビジネスの鍵は「没入体験」?(佐々木明子) - 日本経済新聞

なぜか最近よく聞くあの言葉

皆さん最近、何かに「没入」したことはあるだろうか。「没入」は「没頭」とは、どこか違う。アナウンサーとして言葉を使いこなす時、日本語の豊かさに感動する。

例えば昨日、私はベランダのハーブと、同僚にもらったヒマワリの手入れにしばし「没頭」した。気が付くと1時間ほどがあっという間に過ぎていたが、このリラックス感と適度な緊張が共存した状態が「没頭」だろう。もちろん、日々仕事にも没頭している、とここでは書いておく(笑)。「没入」はもう少し違う。深く深く沈むイメージだ。ここ数年でこの言葉を耳にする機会が増えたのは、やはり仮想現実(VR)の世界へのアプローチが進化しているからだ。

以前、取材で米メタのVRを体験した。初めて装着したヘッドセット「Meta Quest 2」。前髪が邪魔をして装着に手間取ったが、ふと目を上げると、そこにはギリシャのサントリーニ島のような空間が広がっている。なんて奇麗なんだろう。金髪の女性2人がこっちを見て笑っている。

別の取材では、世界遺産を歩くことができた。まるでそこにいるかのように。これこそ「没入感」だろう。パソコン画面などでこうした映像を味わうことはできても、ふと画面から目を離すといつも過ごしている現実の世界に戻ってしまう。没入するには、現実世界との完全な遮断が必要なのだ。

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「没入」狙いのエンタメは広がっている

言葉の使用頻度は時代を表すのだろう。最近、没入感に浸ったのは、「イマーシブミュージアム」という「没入感」をキーワードにしたアート体験プログラムだ。広々した会場の壁・床、全てにゴッホなど有名画家の名画を投影させ、座ったり寝そべったりしながら、体に迫る大音響の中で「その世界」に没入していく。目の前に広がる、鮮やかな光景。風景画が、最新テクノロジーで動画のように動き出す。絵画を「鑑賞する」のではなく絵の中に深く入り込んでいく、落ちていくような不思議な感覚だ。

30分ほど居たのだろうか。外に出た時は、仮想空間と現実世界の間で揺らめくようだったが、頭の中がクリーニングされたようにスッキリとした。

アートからイベント、ゲームといったエンターテインメントを軸に、VRや拡張現実(AR)、そしてより現実世界への没入を可能にする複合現実(MR)も開発が進んでいる。MRの市場規模は2030年までにおよそ1兆円になるとの試算もある。変化のスピードが速く、気ぜわしい毎日だ。私たちには自分から離れて別の世界に落ちていく、そんな時間が必要となっているのかもしれない。

最近のMy News「ようやく再開 世界遺産巡り」
今年の夏休みはいよいよ、恒例だった世界遺産の旅を再開する。今回はモロッコ。拒否する夫の意見もはねのけ、サハラ砂漠にも泊まる計画だ。今からワクワクが止まらず、1カ月後の出発に向けて既にトランクを広げて準備を始めている。そんな私を、夫はあきれた顔で見つめているのだった。

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