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メンタルヘルスの鍵:前編 男だって泣いている|エスクァイア日本版 - Esquire(エスクァイア 日本版)

日本同様、男性の不自然死における最多死因が自死であるという課題を抱えるスペイン。精神的健康はすべてのジェンダーに係る課題ですが、ここではあえて同国版エスクァイアに掲載された、「男性」のメンタルヘルスに係る専門家および医師の課題研究、そして少しでも心を軽くするため今日から実践できる方法を紹介します。


誰も一度はスランプに陥った経験があるでしょう。それは時に、耐え難い間続くこともあります。人間関係の問題、オーバーワーク、友人や家族との口論、金銭問題。それらが一度に重なると、誰にでも精神的健康(メンタルヘルス)のバランスが崩れてしまう可能性があります。それがタイムリーかつごく散発的に起こる場合は、心配する必要はないかもしれませんが、長く続くようなら専門医に相談するのが最善です。

これは恐れたり恥じたりすることではありません。実際、2022年10月に公開された保険会社サニータス(Sanitas)によるスペイン国内のメンタルヘルスに関する調査によると、国民の半数が自分の精神的健康は現在優れない(8.3%)、あるいは改善の余地がある(40.7%)と考えています。それは…21世紀にパンデミック(世界的大流行病)を経験したり、第三次世界大戦の可能性があったり、インフレが際限なくエスカレートしたりといった、まるでSFのような出来事は不安やストレス、精神的問題を引き起こすのに十分な理由となるからでしょう。

何十年もの間、「精神障害を認識することは生涯にわたる汚名を背負う」ことを意味していました。ですが、幸いなことに状況は変わりつつあり、いつでも誰にでも起こりうるこれらの病気は、現在ではよりオープンに語られるようになっています。

そして現在では、それらを可視化することこそがこの問題に取り組む唯一の方法なのです。無気力、気分の落ち込み、イライラ、無関心、不眠、全身の倦怠感、気力の欠如などは、誰もが経験したことのある症状でしょう。ですが、長期化した場合は注意が必須です。

とは言え現状は、スペイン人の49%がメンタルヘルスの専門家の助けを必要としたことがなく、約20%は「援助を求めることにややためらいを感じる」と回答しているのです。これに対して、27%の人びとはインターネットを通じてメンタルヘルス改善の助けを求めたことがあると、前出のサニータスが2022年10月公開のプレスリリースで発表しています。

研究者であり神経科学者であるナザレス・カステリャノス(Nazareth Castellanos)氏は、「重要なのは包括的なアプローチからメンタルヘルスについて予測し、取り組むことだ」とサニータス主催によるパネルディスカッションで述べています。また、「メンタルヘルスの基本は、小さな症状から予防すること」と彼女は主張します。

そして健康心理学者であり、オンライン上で心理学者と相談できるアプリTherapyChatのクリニック・コンテンツ主任であるイザベル・アランダ(Isabel Aranda)氏はこの点に同意し、「メンタルヘルスの専門医に診てもらうことは、特にうつや不安神経症、精神障害の症状がある場合に私たちの心の健康を守る最善の方法なのです」と言います。

男性とメンタルヘルスに対する偏見

勇敢さは、場合によっては無意味なこともあります…ですが、コメディアンであり放送作家でもあるアンヘル・マルティン(Ángel Martín)氏が2021年11日に公開されたスペイン版エスクァイアでのインタビューの中で、自身が重度の精神障害によって精神病院で数日間ベッドに縛りつけられていた際に、「不可思議な状態へと陥ったこと」「宇宙船に乗った」とまで告白した際の度胸のよさは誰も否定できないでしょう。

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間違いなく彼はプロとして絶頂期にあり、しかも男性として、「思考が狂い、正気を失っていた」と、歯に絹を着せぬ表現でこの問題を提起したのです。メンタルヘルス自体がタブー視されている場合、特に男性となると社会的スティグマ(汚名、偏見)は倍増するはずです。

サニータスでアドバイザーを務める心理学者ダイアナ・カミン(Diana Camín)氏は。この社会では男性は常に強く自立していなければならず、どんな挫折も自分で解決できるはずだという固定概念に囚われていると指摘しています。

「そのため、弱いとみなされることを恐れて、心理的援助を求めることに抵抗を感じる男性もいます。加えて、一般的に男性は自分の感情を表現することを苦手とする傾向があり、威厳や無事を装うことが多いのです」と言います。

男性のメンタルヘルス:危険信号にはどんなものがあるか?

自分は健康・健全だからこんなことは起こらないと思っていませんか? 気をつけてください。スペイン精神衛生連盟とムトゥア・マドリレーニャ財団によるスペインの精神衛生状況調査によると、スペイン人の26.2%がメンタルヘルスの専門家にかかり、18.9%が向精神薬を服用しています。だからこそ、何かがおかしい場合に現れる症状を見逃さない方法を知っておくべきなのです。「精神的な問題を抱える危険性があるとき、私たちの身体は気分の変化(とても悲しい状態から、理由のない多幸感まで)、行動の変化(以前は好きだった活動を楽しめなくなる)、食事の変化(食事への不安や食欲の減退)、睡眠障害や集中力の低下、身体的な痛み(筋肉の不快感、疲労感、頭痛など)を感じるのです」とカミン氏は説明します。

危険な行動とは?:ストレス、薬物使用、社会的孤立

予期せぬ劇的な出来事が感情の悪化を引き起こし、心理的健康を変えてしまうこともありますが、気づかぬうちに光と影の隙間にはまり込んでしまうこともあります。これは前出のアンヘル・マルティン氏のケースであり、彼が記事内でも紹介している著書『Por si las voces vuelven(声を取り戻せたら)』(Planeta社)でその過程を語り、当時マリファナやエクスタシー、アルコールを摂取していた彼の奇妙な行動に気づいたのはパートナーであったと認めています。これらの摂取が引き金のひとつであったことが示されていますが、それだけではありません。 

『Por si las voces vuelven』

ロペス・イボル・クリニック(Clínica López Ibor)の医療部長イグナシオ・バスルテ(Ignacio Basurte)博士は、心理的苦痛を引き起こす可能性のあるその他の行動について、次のように述べています。

「仕事においては、職場でのストレスや感情的サポートの欠如が危険因子となる可能性があります。日常生活では、“薬物の使用”や“座りっぱなしのライフスタイル”、さらに“社会的孤立”がそれに当たります。また、個人的な人間関係では“別離”、“悲しみ”、“感情的なサポートの欠如”です。さらにSNSや依存症に関しては、“電子機器の過度な使用”や“ギャンブルへの依存”に注意する必要があります」

男性のメンタルヘルス、主な病態は何か?

世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスとは「人々が人生のストレスに対処し、その能力を十分に発揮し、よく学び、よく働き、地域社会の向上に貢献できる精神的健康状態」としていますが、この定義は明確であると同時に不正確でもあります。

一般的に精神疾患と言えば、さまざまな症状(うつ、双極性障害、強迫性障害など)を指しますが、専門家によるとこの不調は、ホルモンや心理的、社会文化的要因によって左右されるため、女性と男性では現れ方が異なります。

サニータスのカミン氏は、男性の方が以下の3つのような外的な病態を示しやすいと断言します。

「ひとつは、ありえない状況で過度の恐怖や心配を引き起こすストレスが挙げられます。もうひとつは、社会規範や法律に反する行動を含む反社会性パーソナリティ障害です。 そして統合失調症は、人の考え方や感じ方、行動を変化させ、妄想や幻覚、無秩序な思考に悩まされる障害であり、男性のほうが罹患率が高いのです」

Translation / Yumiko Kondo 


もしもあなたが悩みや不安を抱えて困っているときには、日本にも気軽に相談できる場所があります。相談方法もいろいろなものがあるので、ご希望の窓口を選んで話してみませんか? 

こころの健康相談統一ダイヤル 
0570-064-556
公式サイト

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