民間組織「人口戦略会議」が公表した「消滅可能性自治体」に千葉県内54市町村の約4割にあたる22市町が分類されたことについて、熊谷俊人知事は25日の定例会見で「あらためて警鐘と受け止め、少子化対策や地域活性化に市町村と連携して取り組む」と述べた。(小川直人、堀場達、山本哲正、林容史)
熊谷知事は、住環境と地域に合った雇用の充実、都市部や東京圏へのアクセス改善のための広域的な交通ネットワークの整備などを対策に挙げた。東京湾アクアラインを例に挙げ「着岸地点の人口が増えたり維持されたりしている。今後、地域が雇用の受け皿として機能することも重要」と説明した。
少子化対策では「第2子を産もうと思える子育て世帯の負担軽減を社会全体として行うことも大事だ」と指摘。移住・定住の促進など地域間の「パイの奪い合い」で地方が疲弊しないよう、人口減対策での国のリーダーシップを求めた。
◆若年女性の減少率改善
房総半島南部では、南房総、勝浦、富津の3市、鋸南、大多喜の2町が「自然減対策が必要、社会減対策が極めて必要」とされた。「自然減」は出生数よりも死亡者数が多いこと、「社会減」は転入者を転出者が上回ることを指す。この地域では近年、移住・定住施策を重視してきており、いずれも前回に比べて若年女性人口減少率に改善がみられるとの評価になった。
若年女性人口の減少率が8・8ポイント改善されたのは南房総市。空き家バンク事業や移住・定住情報サイトを充実させ、ここ数年は年間40人前後の移住者がいる。2024年度は子育て世帯に民間賃貸住宅の家賃補助を始めた。
同市の座間好雄総務部長は、消滅可能性自治体から脱却できていないことは「残念」としつつも、「これまでの人口減少対策が若干ではあるが効果があったものと思われる」と述べた。
また、今回の分析で「極めて必要」とされた社会減対策については「子どもたちに地元に愛着を持ってもらうよう地域について学ぶ『南房総学』事業を充実させたい」とした。
前回(14年)の「消滅可能性」から脱却できた君津市も、保育園での一時預かりなどをパッケージ化した子育て世帯の短期移住体験プログラム「保育園留学」を昨年12月に県内初導入するなど、移住定住の促進や子育て支援の施策に取り組む。石井宏子市長は「こうした取り組みを進めながら、ここで暮らしたい、子育てしたいという人たちが安心して暮らせる環境をつくっていきたい」と語った。
◆人口増顕著な地域も
一方、印西市とともに自立持続可能性自治体とされた流山市は、05年のつくばエクスプレス開業で沿線開発が進み、人口は約6万人増えた。全国の政令市を除く市の中で、人口増加率は16~21年まで6年連続で1位になった。
井崎義治市長は「子どものいる共働き世帯をメインターゲットに人口誘致を図り、子育て教育環境の充実に努めてきた」と説明。合わせて「緑豊かな住環境の整備など、良質なまちづくりを進め、都市ブランド力を高めるとともに、にぎわいを創出できるようなまちづくりを進めた」と強調する。今後も「人口が減らないまち、選ばれるまちづくりに努めていきたい」とした。
◆唯一「特に構造的に深刻」な銚子市 流出歯止めへ「魅力ある仕事つくる」
20年に4331人だった若年女性人口が、50年には67・5%減の1409人になると推計されるなど、消滅可能性自治体の中でも「特に構造的に深刻な自治体」と指摘された銚子市。越川信一市長は25日の定例会見で「最も取り組んでいくべきなのは仕事づくり」との認識を示した。
「特に構造的に深刻」とされたのは、県内では銚子市のみ。全国でも23自治体しかない。越川市長は、人口流出の理由に、仕事不足などのほか「例えば茨城県の鹿島臨海地域に職を得ても、住宅用地の少ない銚子ではなく、茨城県側に家を構える傾向が見られる」ことを挙げた。
市は少子化対策として、小中学校の給食費無償化のほか、今年度からは保育所などに通う子どもの給食費補助を開始。「既存施策に加え、特に若年女性にとって魅力のある仕事を創出したい。いずれもすぐに効果が表れるわけではないが、地道に進めていきたい」と話した。
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