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ギャンブル依存、早期発見へ周囲の気付きが鍵 栃木県内支援団体、拠点機関に期待|下野新聞 SOON - 下野新聞

栃木ダルク職員(右)と最近の生活について話すギャンブル依存症の男性=4日午後、宇都宮市下栗町

栃木ダルク職員(右)と最近の生活について話すギャンブル依存症の男性=4日午後、宇都宮市下栗町

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平(おおたにしょうへい)選手に対する銀行詐欺容疑で訴追された元通訳、水原一平(みずはらいっぺい)容疑者が明かし、社会的な関心が高まっているギャンブル依存症。県への相談件数は増加傾向にあるなど深刻化しており、県は依存症に関する情報発信や医療機関向けの研修機能などを兼ねる「依存症治療拠点機関」の本年度内の選定を目指す。患者を支援する団体は「一般の人が関心を持つ広報に取り組み、早期発見につなげてほしい」と期待を寄せる。

 「今も完全にやめようという気持ちになっていないことが、依存症なのかもしれない」。宇都宮市のNPO法人「栃木ダルク」の回復支援施設に入寮する60代男性が静かに話す。

 パチンコスロットを始めたのは30代前半。給与の不足分を稼ごうとするうちにのめり込み、借金は400万円に膨らんだ。仕事がうまくいかないという理由を付け、親に返済してもらったが、半年も経つと再びパチンコ店に足が向いた。

 2017年、60歳を超えて退職。数百万円あった退職金は妻と折半し、残りはわずか4カ月でスロットに消えた。その後に離婚。病も抱え、生活苦に陥った。

 20年1月に施設に入寮した。現在は社会復帰に向けたプログラムを受けながら、自助グループで中心的な役割も担う。ギャンブルから遠ざかってはいるが、嫌なことがあると頭をよぎる。「やっぱりスロットは面白い。退寮したらまた依存してしまうのではないか」。不安は消えない。

 栃木ダルクによると、パチンコなどのギャンブルは身近な存在だが、依存症に陥っても薬物やアルコールほど精神障害を伴わないため、医療機関につながりにくいという。また23年に県が実施した精神保健福祉に関する県民意識調査では、ギャンブル依存症に関する相談窓口を知らない割合は4割に上っている。

 県が選定するギャンブル依存症の治療拠点機関は、依存症に関する正しい知識や治療法、患者との接し方などを精神科のある地域の医療機関に研修するほか、広く県民にも依存症について周知を図る。

 栗坪千明(くりつぼちあき)代表理事(55)は治療拠点機関による啓発強化に期待している。「ギャンブル依存は特別な病気ではない。借金をするようになったら既に依存症だ」と指摘し、「まずは気がついた家族だけで早期に相談できるよう、相談機関は敷居を下げることが重要」と話している。

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