米国内では初年度に30〜40万台程度の売り上げが予測され、おおよそ需要がひと段落したタイミングの6月28日、日本、中国、シンガポールの3カ国で発売される。また、7月にはアジア圏を中心にさらに5カ国で発売される予定だ。
米国では256GB版が3499ドルとなっているが、日本での販売価格は税込59万9800円〜となっており、視力調整用のレンズやトラベルケースなどのアクセサリも発売となる。
日本発売に寄せるアップルの期待
日本発売に際して、アップルは、日本の開発者コミュニティに対する期待を寄せた。アップルでワールドワイドデベロッパリレーションズを担当するバイスプレジデント、スーザン・プレスコット氏は、本記事に対して次のようなコメントを寄せている。「日本のアプリのデベロッパ・コミュニティは活気に満ちあふれ、アップルのプラットフォーム全体に提供する革新的な体験は、私たちにインスピレーションを与え続けています。
Apple Vision Proの登場は、デベロッパに新たな刺激をもたらす機会です。
東京には世界でも数少ない専用ラボがあり、デベロッパたちが想像力を膨らませ、visionOSのユニークな性能を活かしたアプリの開発を支援しています。
Apple Vision Proが日本に登場し、さらに多くのユーザーが空間コンピューティングの魔法を体験し、日本のデベロッパの手によるMESON、STYLY、TVerなどを含め、お気に入りのアプリをまったく新しい方法で楽しんでいただけることをうれしく思います」
4カ月の空間コンピュータ初号機との生活
筆者は、2024年2月のApple Vision Pro発売のタイミングで購入し、この4カ月間、日常生活に取り入れて試してきた。飛行機の中では最高のバーチャルディスプレイとして活用することができたし、ところ構わず巨大なスクリーンでのエンターテインメント体験を実現することができた。
しかし冷静に考えてみると、これらは非常に精密に作られたゴーグル型ディスプレイのメリットに過ぎないのではないか。
もちろん、持ち運べる100インチクラスのPC用ディスプレイや、あるいは3Dコンテンツも楽しめるポータブルホームシアターを実現している点は大きな価値だが、果たしてそれだけで良いのだろうか。
空間コンピュータとしての3つの価値
Apple Vision Proがもたらす、「空間コンピューティング」を標榜する初号機として3つの価値について考察することができる。まず1つ目は技術的価値だ。
高精細の4Kディスプレイを両目に配置し、自社設計のM2チップに加え、低遅延での処理を行うために重要なR1チップを追加。高い空間認識能力を発揮し、周辺の環境や目の前のオブジェクトと、Vision Proが描画するコンテンツを高いレベルで馴染ませることに成功している。
これらは、ARやVRといった技術の名前ではなく「空間コンピューティング」という新しいブランディングを施す際に、アップルが「こうあるべき」という高いスタンダードを設定し、それに見合うデバイスとして磨き上げた結果だった。
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