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スポーツメディアの収益3倍増、達成の鍵は「 クリエイター 」:「インフルエンサーコンテンツには本物感と真実味がある」 - DIGIDAY[日本版]

ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)が抱えるソーシャルファーストスポーツバーティカル、ハウス・オブ・ハイライツ(House of Highlights、以下HoH)は、より多くのフランチャイズを確立し、広告収入を増やすために、クリエイター主導のコンテンツを制作している。

2021年、YouTube、TikTok、インスタグラムにおけるコンペティションものやシリーズものなど、クリエイター主導コンテンツの開発に力を入れて以来、ブランデッドコンテンツおよびHoHのクリエイター主導コンテンツによる収益が、2022年1~5月、2021年全年と比べて3倍増を記録したと、HoHのVPドリュー・ミュラー氏は話す。具体的な額は、ミュラー氏は明かさなかった。HoHの総収益の内、約35%がクリエイター主導コンテンツによるものであり、このシェアは昨年の割合よりも約25%高くなっていると広報担当者は述べた。

クリエイターコンテンツによるHoHの収益の大半は、インスタグラム、TikTok、YouTubeにおけるブランド契約から生まれている。ブランド側はHoHのコンテンツの有料スポンサーになるとともに、カスタムセグメント、プロダクトプレースメント、ブランドインテグレーション、コールアウトにも対価を支払う。収益はさらに、HoHのそれとは別のクリエイター主導ブランデットコンテンツ、たとえばXbox(エックスボックス)エクソン(Exxon)コロナ(Corona)といった広告主用のコンテンツからも生まれている。

HoHはシュプリーム・ドリームズ(Supreme Dreams)、スルー・ザ・ワイアー(Through The Wire)、ブロードキャストボーイズ(BroadcastBoys)といったグループをはじめとするクリエイターらと長年協力関係を築いてきたが、近年はクリエイター主導のコンテンツを介して若いスポーツ愛好家のファンダムを築くべく、ライブ予約ビューイングイベントにフォーカスしている。ライブコンテンツは、「クリエイターがオーディエンスを動かすという意味で、最大の結果(つまり、視聴率)をもたらしてくれる」と、ミュラー氏は話す。

広告主が支えるクリエイター主導ライブコンペティション

HoHは年に3回、「ショーダウン(Showdown)」ライブストリームコンペティションを開催している。これはクリエイター同士がさまざまなスポーツチャレンジにおいて凌ぎを削るもので、重要なスポーツイベントの時期に合わせて開かれることが多い。ピザハット(Pizza Hut)は7桁額のスポンサーであり、最近では2021年の2回のほか、間もなく行なわれるドッジボール大会も協賛している。

後者は7月15日、テキサス州で開催のRDCワールズドリームコン・ファン・フェスティバル(RDC World’s DreamCon Fan Festival)の会場から生配信されたと、ミュラー氏は話す。また、Netflixは映画『Hustle/ハッスル』の公開に併せ、「クリエイター・リーグ(Creator League)」と呼ばれるYouTubeでのライブバスケットボールチャレンジトーナメントを協賛した。

さらに、PlayStation(プレイステーション)はHoHショーダウン・ノックアウト・ライブ(HoH Showdown Knockout Live)や、NBAオールスター・ウィークエンド(NBA-Allstar Weekend)中に同じくライブイベントのHoHクリエイター・リーグ(HoH Creator League)を協賛した。また、コロナはHoHのシリーズもの企画「ハイライト・ハウス(Highlight House)」のスポンサーになっている。後者はシーズンごとに異なるスポーツまたはグループのクリエイターにフォーカスしたもので、シーズン4が2022年7月第1週に配信される。

HoHの営業部隊はクリエイターコンテンツを支える広告主を確保するとともに、クリエイターにはコンペティションイベントへ参加の謝礼を支払うと、同社広報は話す。金額の幅について、広報担当者は明かさなかった。

ますます増加するオーディエンス

クリエイター主導コンテンツのオーディエンスの増加に伴い、HoHの広告契約の規模は「着実に拡大」していると、前出の広報担当者は話す。ただ、その平均規模は明かさなかった。インフルエンサーマーケティング予算を拡大させるなか、「ブランド勢は従来のメディアの枠を越える術を探っている」と、インフルエンサーマーケティングエージェンシー、スウェイ・グループ(Sway Group)のCEOダニエル・ワイリー氏はeメールで指摘する。

「若いオーディエンスは自分にとって必要なニュースや情報をほぼすべてソーシャルメディアから得ており(中略)だからこそ、彼らのいる場所で彼らにリーチするには、予算のインフルエンサーマーケティングへの移行が、ブランドにとっては必須となる」とワイリー氏は言い添える。

HoHのクリエイターコンテンツは同社のほかのコンテンツを「凌駕している」とミュラー氏は話す。実際、たとえば、TikTokのHoHクリエイター・リーグコンテンツは、同プラットフォームに投稿されるほかのコンテンツよりも視聴数が平均で約10%多い。

2021年4月から2022年4月にかけて、HoHはアグリゲーテッドフォロワー数を3500万人から5000万人へと、約43%増加させた。チューブラー・ラボ(Tubular Labs)のデータによれば、5月の再生回数はYouTubeが5億3000万回以上、TikTokが4億800万回だった。HoHは元々インスタグラムにフォーカスしていたが、2020年2月にクリエイターコンテンツに特化するYouTubeチャンネルを開設した。現在、チャンネル登録者は17万5000人に上る。このオーディエンスは、84%以上が34歳未満だと、ミュラー氏は話す。

「インフルエンサーコンテンツには本物感と真実味があり、それはパブリッシャー単独ではまず再現できない」とワイリー氏。HoHは「文字どおりリアルなスポーツコンテンツであり、スポーツファンに愛されている。理由は(スポーツやリーグの専門家、解説者ではなく)素人であるユーザーが作っているからで、そこが大きな魅力となっている」。

グローバルマーケットインサイトを供する企業、ナショナル・リサーチ・グループ(National Research Group)の2022年6月の報告書は、ファンとインフルエンサーの関係を浮き彫りにしている。同調査によれば、回答者の44%には、実世界の友だちと同じ感覚でお気に入りのクリエイターがおり、フォローしているコンテンツクリエイターに勧められたプロダクトやサービスを少なくともひとつは購入したことがある、という回答が53%に上った。

成功方程式を採り入れるブリーチャー・レポート

クリエイターおよび広告主との提携でHoHが収めたこの成功は、ブリーチャー・レポートのコンテンツ戦略にも影響を及ぼしはじめており、特に同社のアプリにおけるライブ動画とクリエイターコンテンツにそれが顕著に表れていると、HoHのGMダグ・バーンスタイン氏は話す。先月のNBAドラフト(NBA Draft)関連のアプリ内ライブストリームは、HoHが数年前から育んできたクリエイター集団、スルー・ザ・ワイアーが手がけた。バーンスタイン氏によれば、このストリーミングで約3万人の同時視聴者を獲得した。

「クリエイターコンテンツは生き残るだけではない、これは成長の場なのだ、という認識がブリーチャー・レポート側にはある。HoHがしていることをたんに複製するのではなく、オーディエンスと収益機会をブリーチャー・レポート側でいかにして創造できるのか、その術を探すための積極的な戦略をすでに用意している」とバーンスタイン氏は話す。

差し迫る不況による経済的締め付けをメディア企業勢が感じはじめているいま、クリエイターとの提携に目を向ける企業が増える可能性は十分にある。たとえば、BuzzFeedは他部門を縮小しているが、クリエイタープログラムは拡大させている。また、クリエイターにはオーディエンスおよびブランデットコンテンツによる収益をパブリッシャーにもたらすだけでなく、フルタイムの従業員を雇用したり、その道のプロと提携したりするよりも、経費の節減になり得る、というメリットもある。

「我々がクリエイターと作るこうしたコンテンツならば、プロやアスリート自身が手を貸す従来の類よりも、経費をはるかに低く抑えられる」とミュラー氏。「いや、『このクリエイターと組めば、このアスリートと組むよりも安く済む』という単純な話ではない。コンテンツクリエイターと組むことで、事実上、コンテンツプロデューサーも、コンテンツに登場するタレントも手に入る――さらには配信網もそうだ。つまり、その重要な3つが一度に手に入るわけであり、しかも彼らが語りかけるオーディエンスは、いわゆるローファイな、生の、本物感のある、オーガニックなコンテンツを、ほかのオーディエンスよりも強く求めている」。

[原文:House of Highlights’ creator-led content triples revenue

Sara Guaglione(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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