
厚生労働省によると、女性の平均寿命は87・09歳(2022年)と世界1位。男性は81・05歳で4位となった。いずれもコロナ下で前年を下回ったが、上位の座は揺るがなかった。
頼もしいのは医療・介護に依存せず、自立した生活ができる「健康寿命」が延びていることだ。19年時点で女性は75・38歳、男性72・68歳と、10年と比べて1・76年、2・26年延びた。元気な高齢者が増えている証しだ。
社会保障費が逼迫(ひっぱく)する中、安心できる老後を確保するには、一つは健康寿命を延ばすこと。もう一つは要介護状態になったときの支え方を充実させることだ。
健康寿命を延ばすため、元気な高齢者には積極的に活躍してもらいたい。最適なのが農作業。体を動かしながら作物の管理などに頭を使うため、心身の健康維持につながる。直売所へ出荷したり近所へお裾分けしたりすれば、小遣いが得られ、感謝もされる。自身の役割と生きがいを実感できるはずだ。
介護ボランティアにも注目したい。利用者と同じ年配者だからこそ気持ちに共感し、寄り添ったケアができると好評だ。高齢者がこれまでの知恵と経験を生かし、社会参画できる場を増やそう。
一方、要介護状態になったときの支え方には課題が山積している。社会保障財源に加え、介護人材の不足は深刻化する。急増する高齢化に介護職員の確保が追い付かない。介護人材の処遇改善や研修の充実などで育成を急ぐとともに多様な支え手を広げよう。
高齢者の体調は変わりやすく、元気なときと支えが必要なときがある。心身の調子が良いときは維持を促し、機能が衰えたらケアしつつ自立を手助けするなど多様な支援が求められる。介護のプロに加えて近隣の誰もが自然に見守り、手を差し伸べられる。そんな仕組みが欠かせない。
第29回JA全国大会で掲げた「JA版地域包括ケアシステム」は、多様な支え方を網羅している。元気なときには体験農園や体操教室など暮らしの活動を通した介護予防を、心身機能が落ちたら福祉や介護保険事業を提供する。
組合員・住民がつながって高齢者の健康を支える。老いても安心して暮らせる社会は、誰にとっても住みやすい。JAが地域の核となって築いていこう。
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