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星野リゾート代表 ブランドづくりは理論とデータが鍵 - 日経ビジネスオンライン

市場調査で自社のブランド力を把握しながら、ブランディングの理論を実践してきた。マスターブランドの星野リゾートのほか、「界」「OMO」などサブブランドも強化する。また温泉旅館のスタイルで米国本土への進出を計画。世界展開を加速する。

 ブランドの効果は、長期的に顧客との信頼を積み重ねた結果として生まれます。米国の経営学者、デービッド・アーカー氏の著書である『ブランド・エクイティ戦略』はこの分野の先駆けというべき教科書であり、私はその理論をずっと大切にしてきました。またブランドの構造を考える上ではアーカー氏の『ブランド・ポートフォリオ戦略』も重視してきました。

 これらの理論を実践していく上で、ブランドの現状についてのデータが不可欠です。星野リゾートでは毎年定期的に、市場調査によってブランド力を測定し、競合のブランド力とも比べながら戦略の微調整を行っています。

 調査ではブランドの「認知率」が最も重要な指標で、最近では85%以上の方が、星野リゾートというマスターブランドを「知っている」と答えています。

 認知率と並んで大切なのが、認知の中身である「知覚品質」です。これも詳細に把握するようにしており、星野リゾートのブランドは「滞在の魅力がある」という要素で競合に対して突出して高くなっています。再生案件を多く手掛けた2000年代に滞在の魅力を意図的に高めてきたことで、この要素がブランドの特徴になったと考えています。星野リゾートのイメージの重要な要素になっていますので、「滞在の魅力」のイメージを維持することに取り組んでいます。

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 都市ホテルとして新たなサブブランド「OMO(おも)」を立ち上げるとき、このブランドには今までとは全く違ったイメージ要素が入ってくるため、星野リゾートというマスターブランドの知覚品質に悪い影響を与える可能性があると認識していました。

 強い自社ブランドを利用して、その派生商品で追加の売上高を取りに行く「ブランド拡張」といわれる打ち手がありますが、これがブランド全体の要素に変化を与え、長期的にマイナスになったという過去のケーススタディーはたくさんあります。私が信奉する米経営学者、アル・ライズ氏はブランド拡張に対して最も厳しい理論を展開しています。

 OMOブランド投入による、マスターブランドへの悪影響を回避する策として私が採用した理論が米経営学者、デビッド・テイラー氏の著書『ブランド・ストレッチ』です。ブランドはどういう条件が整えばストレッチ(拡張)していいのかを体系的にまとめてあり、実用的でした。そこからヒントを得てアーカー氏のブランド・ポートフォリオ戦略を読み返すと、私たちの問題点が見えてきました。

 11年からサブブランド戦略を採用し推進しましたが、各施設が星野リゾートというマスターブランドに依存している状態が続いていたのです。OMOブランドがマスターブランドに与える影響を怖いと感じていた本当の理由は、他のサブブランドがマスターブランドに依存し過ぎていたからでした。OMOブランドのスタートを契機に星のや、界、リゾナーレなど他のサブブランドの自立を加速することにしました。

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