交流戦を2年連続で負け越した巨人の上昇の鍵は「再生」と「新星」にある。12球団トップの250得点を誇る攻撃陣だが、交流戦では若手の台頭や故障離脱していた坂本の復帰があったものの、主力が状態を上げられず、同7位の61得点、打率も同11位の2割2分7厘だった。7ゲーム先を走る首位ヤクルト追走には、2軍にいる主力の復活は不可欠。「再生」に向けて熱血指導をするのが、通算打率3割1分、2120安打の小笠原道大2軍打撃コーチ(48)だ。17日のリーグ戦再開前の状況をチェックすべく、ジャイアンツ球場での「ガッツ塾」に潜入した。

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ガッツが精力的に動き回る。もはや、ジャイアンツ球場おなじみの光景になった小笠原2軍打撃コーチによる“ガッツ塾”。コミュニケーションをとりながら、独特で大きな身ぶり手ぶりを交える。「一方通行にならないようにね。分かってるだろうな、ではなくて、本当に分かってる? っていう。話した言葉、ワードが溶けていって、体の一部にならないといけない」。手本を見せる時のスイングは、現役時代の豪快なフォームの風味が残っていて、なんとも懐かしい。

若手選手の育成だけでなく、中田、松原、北村、広岡…。2軍打撃コーチとして、1軍レベルの野手の「再生」を託された。今季、打率2割2分1厘、2本塁打と苦しみ、2日からプロ入り後初の不振によるファーム調整となった大城もその1人。「ミニキャンプ」と原監督が表現した期間に“ガッツメソッド”を注入し、完全復活へ日々指導にも熱が入る。

大城のパンチ力という武器は買っている。ただ「パンチ力だけじゃ上では勝負にならない。対応力は上げていかないと」と、二岡2軍監督とともに構えやフォーム改造に着手。トップの位置や構える際のバットを位置を見直している。

指導法の根底にあるのは、理論を全て押しつけないこと。「教えているというより、ヒントというか、参考にというか…。こんな感じという。こうだよ、ではない。そこに彼が当てはまるものがあれば」。バットのヘッドの使い方を教える際には「トンカチでくぎを打つように」「竹刀で面を打つ時のように」とさまざまな例を提示する。何か1つでも、きっかけになるものがあればいい。大城も「今までにはないこと、新しい発見が小笠原コーチとやっていて多いです」と引き出しを増やして、アップデートを目指している。

日本ハムから巨人に戻り1年目の小笠原コーチ。トレードマークのヒゲを毎朝さっぱりとそり上げて、朝早くからジャイアンツ球場に車を走らせる。「(ヒゲが)あったって、なくたって、俺は俺だから」。中田は、17日のリーグ戦再開に合わせて1軍に昇格する見込み。“ガッツ塾”の門下生たちが、ここから巻き返しの鍵になる。【小早川宗一郎】

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