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デジタル立国を推進し、誰一人取り残されない社会を実現するためには何が必要か――。日本経済新聞社と日経BPがこのほど共催した「デジタル立国ジャパン・フォーラム」において、慶応義塾大学の村井純教授が具体的に7つの鍵を示した。
同フォーラムは2022年5月23~24日に開かれた。村井教授はクロージングセッションにも参加し、デジタル立国の進め方について有識者と意見を交わした。
村井教授が示したデジタル立国推進への7つの鍵のうち、1つ目はITインフラの整備についてだ。これまではどちらかというと民間企業が主導してきたが、今後は「官民の全ての知を結集した形に変える」(村井教授)必要があるとした。
国が2000年にIT基本法を作った際、「ITはできるだけ民間主導の方が良いという考えがあったが、結局民間任せになってしまった部分があった」(村井教授)という。その結果、経済面では成果を得たものの、いくつかの課題が生じた。その1つが、データセンターや光ファイバーケーブルの陸揚げ拠点が首都圏に集中していることだ。
ITインフラの一極集中は効率が良く経済的にはメリットがある。だが、国全体に均質なサービスを展開する観点や、クラウドなどによる新サービスを全国展開する視点、安全保障の面から見ると問題がある。村井教授は「民間任せのオペレーションを見直し、官民で連携して取り組むようにする必要がある」と力を込めた。
2つ目は「国民、社会の目線で評価できるデジタルサービスプラットフォームを作ること」だ。村井教授は「現在は官庁が縦割りになっており、行政サービスが分断している」と指摘。「そのため国民の目線から見た場合に行政サービスがどうなっているか、ということを行政自らが評価できない」と続けた。この問題の解消が、デジタル庁に期待される役割の1つだ。
3つ目は「全国にITインフラを広げること」だ。例えば、個人宅へ光ファイバーを引き込むFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)について、政府は世帯カバー率を98.8%(2019年時点)から2027年度末に99.9%へと引き上げる目標を掲げている。均質な行政サービスを届けるという観点から、この割合を引き上げることが重要だという。
デジタル人材が官民を行き来できるように
4つ目は「デジタル人材の育成と、適正配置」だ。村井教授はデジタル人材不足が指摘される現状について、人数面だけでなく、どんな人材をどこにアサインすればよいかといった「最適配置について分かっていないことも問題だ」と語った。
例えば欧米では、デジタル人材が公共機関と民間企業を何度も行き来するケースが多いという。そのようなキャリアを持つ人は「政府と民間企業がデジタル化についてそれぞれどんなことをすれば良いか深く理解している」(村井教授)。
日本で同様の取り組みをするためには公務員制度の変更など様々な壁がある。そうした現状を踏まえ、村井教授は「行政と民間企業が協力しないと適正配置の問題は解決しない。改めて仕組みや制度について考える時期にきている」と述べた。
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