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山形・庄内空港-滑走路延長の鍵(2) 費用対効果 - yamagata-np.jp

2023/8/16 09:41

滑走路の500メートル延長には明確な費用対効果が求められる=東根市・山形空港

 「国は観光立国、県は観光立県。インバウンド(訪日客)に注力している。東京五輪・パラリンピック後を見据えると、今この問題にしっかりと向き合う時期に来ている」。2018年4月、吉村美栄子知事は幹部職員に対する年度初めの訓示で、山形、庄内両空港の滑走路延長に本腰を入れる考えを示した。

 県は19年度予算に調査費を計上し、▽航空需要の動向分析▽概算事業費の算出▽費用対効果算定―などをコンサルタントに業務委託して方向性を探り始めた。県議会、市町村、経済団体などと組織する県開発推進協議会としても、国の施策への反映を目指す「政府の施策等に対する提案」に毎年、滑走路延長に関する支援を盛り込んでいる。

 多額の費用を要する滑走路延長には国の支援が必須となる。国が補助を決める基準の一つに「1路線の年間利用者として50万人が見込まれること」がある。新型コロナウイルス禍前の19年、山形空港の大阪便は年間11万9500人、庄内空港の東京便は年間39万4千人だった。「50万人」のハードルは高い。

 一方、チャーター便など国際線に目を向けると、基準となる「50万人」の壁はない。代わりに2500メートルに延ばすことで得られる明確な費用対効果が求められる。県は実現可能性を見極め、国際線を滑走路延長の突破口に位置付けた。

 滑走路が延長されることで、中距離国(タイ、シンガポール、フィリピン、ベトナムなど)からの旅客機も着陸できるようになる。県によると、東京などを経由せずに、これらの国から直接来県することで生まれる経済的利益を効果として示す必要がある。2千メートルでも着陸できる台湾や韓国ではなく、中距離国の需要がポイントとなる。

 しかし、県が費用対効果の算出に着手した直後の20年、新型コロナが世界を襲った。海外からの入国はストップし、需要予測が立てられずに調査は中断を強いられた。県はコロナ禍が明けた今後に調査を本格的に再開する。

 もう一つの鍵を握るのは事業費だ。両空港周辺には滑走路延長に際し、クリアすべき地形的な問題がある。現時点で県に公表できる試算はないが、関係者によれば「新たな空港を一つ造れるぐらいの金額」とも言われる。

 インバウンド(訪日客)の実績に乏しい中で、いかに将来の「効果」を明示し、事業費獲得につなげるか。説得力のある戦略の構築が求められる。

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