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山形・庄内空港-滑走路延長の鍵(3) 山形空港の役割 - yamagata-np.jp

2023/8/17 09:14

山形空港の敷地南側。県は滑走路を延長する場合、南側に延ばす方針としている=東根市

 山形空港の滑走路を延長する計画は1990年代にも存在し、実現に迫った経緯がある。航空機の大型化、空港の国際化に対応するために当時も2500メートルの長さが不可欠とされた。県は滑走路を南側に延ばす想定で事業費を200億円超と試算し、着工から完成まで5年と見込んだ。

 96年、運輸省(現国土交通省)は第7次空港整備計画で山形空港の滑走路延長を採択した。しかしその後、地方空港を取り巻く環境は大きく変化する。財政構造改革のあおりを受けて整備計画の目標年次は延長され、財政状況の悪化から県も事業を凍結。最終的に国は2001年、山形空港の滑走路延長を見送った。

 それから20年の時を経て、インバウンド(訪日客)推進の旗印の下、再び光が当てられている。県は19年度に着手した調査で、滑走路を延ばす場合は南側とする従来の方針を確認した。空港の北側には川があるためだ。ただし南側には県道が走り、地下には水道管が埋まっている。実際に施工する際には何らかの手だてが必要になる。

 滑走路延長を目指す県は、インバウンドへの対応だけでなく、災害時のリダンダンシー(代替機能)の強化という視点からもその必要性を訴えている。東日本大震災や近年の福島県沖地震で、山形空港は多くの臨時便を受け入れた。代替空港として災害支援に大きな役割を果たしてきた。

 とりわけ、東日本大震災ではかつてない存在感を示した。24時間化された山形空港は被災地支援の拠点となり、旅客機や防災ヘリ、自衛隊機、米軍機などが次々と離着陸した。1日当たりの利用者数は平時の10倍を超え、空港は人であふれた。

 当時、山形空港ビルの社長を務めていた福島得二さん(74)=山形市=は歯がゆさを感じていたという。滑走路が長ければ、大型の旅客機を使い、大人数を一度に運ぶことができた可能性があったからだ。災害時は悪天候も想定される。安定的に機体を飛ばすことを考えても「滑走路は長いに越したことはない」と語る。ただし、もろ手を挙げて滑走路延長に賛成するわけではない。事業費に加え、空港周辺の住宅地への影響などを調査した上で、延長の可否を見極めるべきとする。

 頻発・激甚化する自然災害への対策は、国や県の最重要課題の一つとなっている。山形空港は、道路網が寸断されても滑走路さえあれば移動できるという空路の強みを証明した。この実績や災害時における課題を分析し、代替空港の観点から、長い滑走路が必要とされる理由をより具体的に示していくことが求められる。

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